b礼文島
	日本最北端の国立公園である礼文島は、若い頃から花の島としてあこがれの地であった。 果てしなく遠いこの島は、お金も暇もなかった頃は手の届かない夢の島であったが、二十年以上を経て２度訪れることができた。 　最初にこの島に上陸できたのは４年前、５月下旬で花のシーズンには少し早く、しかもあいにくの天候で写真撮影もままならず、あこがれの「レブンアツモリソウ」を見たという満足感だけで終わり、次回の訪問を誓いながら無念さいっぱいで引き上げた。 　２度目は一昨年の６月下旬、花のシーズンとしては最もよい時期を選び上陸、好天にも恵まれ、桃岩〜元地灯台コースや礼文滝コース、スコトン岬など、足が棒になるまで歩き回って撮影し続けた。それにしても、礼文島から見る利尻富士の姿は美しい。 　しかしながら、若い頃に見たポスターにあった花の島の風景はすでになく、冷たい西風に耐えながら、健気に咲く「レブンウスユキソウ」の群生には感激したものの、島は、竹とエゾニュー（ウドの一種？）で占領されつつあった。あこがれの高山植物はちらほらという感じで、もはや高山植物が咲き乱れるお花畑を見つけることは難しい。テレビの番組などでうまく切り取られた一部の風景を信じてはいけない。 　これも、シーズンに訪れる膨大な数の観光客と異常気象によるものかもしれないが、年々この現象は確実に進んで行くであろうから、この礼文島を一度は訪れてみたいと思っておられる方は、一刻も早く旅立たれ、余裕を持った日程でこの地を堪能して欲しい。貴重な高山植物が消え去る前に。